ライブ・コンサート

  • 2004年10月16日 吉田ダンススタジオ
  • 「青森三沢食いしん坊記」

【東北〜】

気の合う人たちと演奏旅行に出かけるのは楽しい。
4時間しか眠ってなかったのに、話に夢中になって眠気もどこへやら。
東北新幹線「はやて」で八戸まで行って、それから「スーパー白鳥」に
乗り換えて三沢へ。
三沢駅では2年ぶりにお目にかかる吉田勝美&晴美先生ご夫妻の、優しい笑顔が
待っていてくださった。「お〜、みんな来たか〜」と目を細める勝美先生。
晴美先生とハグをして、再会を喜んだ。
相変わらず、お美しい先生!

寒いのを覚悟して行ったけど、日中はむしろ暑いくらい。
線路の空き地には、秋の陽射しを受けてススキたちが穂をなびかせている。

懐かしの吉田ダンススタジオに到着。
2年前に仔犬だったチビたちは、すっかりチビでなくなってた。
スタジオの中は、今夜のパーティー準備で大わらわ。
ステージ中央に貼ってあるポスターを見て、思わずニヤリ。

『たんぼの中のタンゴの夕べ』…だって。

青森三沢食いしん坊記  青森三沢食いしん坊記

昔はスタジオの周りは田んぼだったのだそう。

お腹がすいて倒れそうだったパンパ一行は、皆さんがご用意くださった
ハヤシライスを夢中でいただく。食前酒は自家製梅酒。
食後、お手伝いくださっていたI橋さんにお願いして、譜面をコピーする為に
コンビニへ連れて行っていただく。ところが、スタジオに戻って、元々の原稿しか
手にしていないことに気付き大慌て。またもや車を出していただくことに…。
I橋さん、本当にごめんなさい。

 

【たんぼの中のタンゴの夕べ】

サウンドチェックがてらリハーサル。
早めにいらしてる生徒さんたちが、私たちの音に合わせて
晴美先生と踊っていらっしゃる。
私は皆さんが踊っていらっしゃる姿を見ながら唄うのも大好き。
特に、晴美先生の表情を見ていると、まるで自分が映画の中に登場する
ダンスホールで唄う歌手のような気分になる。
私にとってはロマンチックな瞬間。
ボーカル用には、ト音記号の付いてる小さなステージが用意されてあった。

晴海先生が私の新しいアルバム(津金さんの作品群『早くあなたに会いたいな』)
をかけながら、生徒さんと何やら打ち合わせ。
しばらくして、アルバムの中の3拍子の歌に合わせてダンスが始まった。
美しい…女性お二人の動きに魅入ってしまう。
そう言えば、一昨年『ami amour』の中に入っている[Moon River]に合わせて
晴美先生が踊ってくださったのだけど、あの時、あまりの美しさに
涙が止まらなかったっけなあ。
素敵なダンスによって、CDの歌が更に良いものに思えてくる。

日も暮れて、肌寒くなってきた頃、100名余りのお客さまをお迎えしての
ダンスパーティーが始まった。
ようこそ、「たんぼの中のタンゴの夕べ」へ…!

バンドネオン3名、バイオリン3名、ピアノ、コントラバス&私。
真後ろで、尊敬する西塔祐三さんのバンドネオンがギュンッと鳴る。
そのパワーに後押しされるかのように、腰でタンゴのリズムを感じながら
唄い始める。
客席に、懐かしい笑顔が見える。余計に楽しくなる。
ああ、またここに来られたんだなあ。

休憩時間、勝美先生に呼ばれてCDの営業。
勝美先生が用意してくださっていた色紙にサインをした効果なのか
持参していたCDは全部売り切れて、しかも追加注文までいただいてしまった。
嘘みたい。中には「サインを買いたいのですが…」と仰った方まで…。
さすがにそれは…。

「あみ後援会・会長(in 三沢)」のY橋さんが、顔中クシャクシャになさって
私が来たことを喜んでくださった。私は去年、稽古と重なって三沢に行けなかったので
淋しくて泣きそうだったのだそう。皆にその時の様子をからかわれてた。
青森にもファンがいてくださるんだ…と思ったら、嬉しくて仕方ない。

 

【ワイルドな夏目漱石】

一昨年、晴美先生の華麗な舞いを観ることはできたけれど、ダンディな
勝美先生の踊りは残念ながら観られなかった。腰痛がひどかったのだそう。
どうしても観たかったので、一昨年からずっと「腰を傷めている」勝美先生に
頼み込んで、1曲だけ踊っていただいた。
曲はパンパの「ラ・クンパルシータ」。
先生がフロアーに登場なさっただけで、大歓声が上がる。
晴美先生との息もピッタリ。惚れ惚れする〜。

普段、独特の「オヤジ」発言で、私たちをからかってばかりの勝美先生が
踊ってる時は、心底カッコイイ。
おヒゲのせいかしらん、ワイルドな夏目漱石のようにも見える。

でもね、美男美女にも関わらず、お二人のお姿は…「美女と野獣」に
見えないことも…ないかなあ…なんて^-^
(勝美先生、ゴメンナサイ)
きっと晴美先生が華奢で美し過ぎるからだわ。

やんややんやの大喝采だった。
先生、無理なお願いを聞いてくださって、ありがとうございました!

3部のステージを終えて、お待ちかねの打ち上げ。
T花さんが夕方釣ってきてくださったヒラメのお作りを食べさせていただく。
透き通るような美しさのヒラメの甘味が口中に広がる。
巻き寿司、エビチリ、肉団子、固焼きソバ…おご馳走が、これでもか…と
いうくらいテーブルに並んでる。

パリ祭地方公演の打ち上げ時、嶋本王子から「食べるより、まず皆さんに
ご挨拶してまわること!」とご忠告を受けたはずなのに、気がついたら
私もパンパのメンバーたちも、夢中で頬張っていた。
王子のお顔と発言が脳裏をかすめたけれど、エイヤッ!と
ヒラメと一緒にのみ込んじゃった。

後援会・会長のY橋さんと、お仲間の元校長先生に挟まれて…しかも
おご馳走と美酒に囲まれて、何とも幸せな宴でございました。
打ち上げ人数は30名近く。本当に賑やか。
更に嬉しいことに、来年は三沢の公会堂でパンパのコンサートを!…と
皆さんが決意してくださった。
三沢市民の皆さんに、是非パンパの演奏を聴いていただきたいんです!と
熱く語られる勝美先生たち。

Y橋さんが仰る。
「タンゴは青森に実に合うんですなあ。バンドネオンの歯切れの良さが
津軽三味線に通じるものがあるように思うんです」
…なるほど。そんな風に考えたこと、なかったなあ。
高橋竹山さんの話などして盛り上がった。
津軽三味線との競演もおもしろいかもね?提案してみようかな。

それからY橋さんと校長先生に、夢のようなご提案をいただいた。
実現したら、本当に嬉しいんだけど…詳細は今はまだ言えない…かな。
会長!よろしくお願い致します!!

 

【チャンチャン焼き】

夜も更けて、それに伴い、気温も一段と冷え込む三沢。
寒いからあったまる為に飲む。だけど、飲んでも飲んでも酔わない。
ここにいたら、私はお酒が強くなるかもしれない!?
しかし、酔わなくても睡魔が襲って来る。何しろ、前夜、寝てないんだもの。
勝美先生の打ち上げでは、皆、朝まで付き合うのが常識なんだけど
早々に退散。来週1週間のスケジュールを考えたら、今、ここで
体調を崩す訳にはいかない。すぐに風邪をひいてしまうんだもの、私。
パンパの本番もあるしね。
心の中で平謝りしながら部屋に戻った。

朝聞いたら、お開きは6:30amだったそう…!同じ部屋の女性3人は
私がパッチリ目覚めた時、死んだように眠っていた。どうりで…。

青森三沢食いしん坊記

犬3匹としばらく戯れた後、裏庭へ向かう。
お昼の準備が着々と進んでいた。
夕べから、これが楽しみで仕方なかったのだ。
これまたT花さんが、釣ってきてくださった大きな鮭(魚の中で一番の好物!)
を使って「チャンチャン焼き」というものを食べさせてくださることになっていた。
チャンチャン焼き…と言うのは、元々、北海道の漁師さんの食べ物らしい。
由来は、漁に出る忙しい漁師さんが、チャッチャと食べられる…ということで
こんな名前が付いた、という説が有力らしい。

青森三沢食いしん坊記

まず鮭を二つに切り分けて焼いてから、骨を採ってほぐしてから野菜と
混ぜ合わせる。味付けは味噌。豪快な料理。

青森三沢食いしん坊記

いい年してあんまり騒ぐと恥ずかしいので、心の中で
「わあ〜!きゃあ〜!素敵イ〜〜〜!」と嬉しい悲鳴を上げ続けた。
誰も知るまい。(いつもより平静を装ったつもり)

他にも大っきなホタテやら、鰯やら、鯛…エリンギ等の茸類(先生のお庭で
採れた「畑(?)しめじ」も抜群においしかった)、野菜、黒豚ステーキ、
豚トロ、焼き鳥、蟹、イカ…もう、書き切れないくらいの食材が並んでいる。
きっと、呆れると思うけれど…3時間、ずっと食べ続けたのさ。
太りたくない、と日頃のたまっている、この私が。

食べながら、ふと思った。
今回の「青森演奏旅行記」は、間違いなく「青森食いしん坊記」になるなあ、と。
結局、こうなってしまうんだな。許してください。

青森三沢食いしん坊記

蟹の甲羅酒にもうっとり。

食後、歩けないほどのお腹を抱えて、三沢港へ。
海が大好きな私の為に、T花さんが車を出してくださった。

青森三沢食いしん坊記

5分ほどで港に到着。
色とりどりの旗をなびかせながら、漁船が所狭しと並んでいる。
全部イカ釣り用の船だった。
夜の海に浮かぶ漁り火を、遠くから眺めたことはあったけれど
間近で見たのは初めて。こんな風になってたんだね。

青森三沢食いしん坊記

記念撮影。青森三沢食いしん坊記どう?「海の女」っぷりは?

その日の朝は風が強かったので、漁は休みだったみたい。
普段は、朝3時くらいに起きて漁に行くか、昼過ぎから出て、明け方戻ってくるか
のどちらかなんだそう。
T花さんに船の仕組みを説明してもらって、感心するばかり。
所々にイカの吐いた墨の後が残ってる。
(思わず、麻布十番「Miyakawa」で戴いた、美味しいイカ墨のパエリアを
思い浮かべた私…)

 

【チャンチャン焼き】

戻ってから、りんごジュースとお茶菓子をいただきながら、焼いたホタテも
つまむ…我々の胃袋はブラックホールへとつながっているみたい。
朝からずっと飲み続けている勝美先生。
けど、お話なさることは、まともだ。
「いいか、お前さんたち。人の何十倍も努力しろよ!」と、私&由美ちゃん&
有希ちゃん&幸恵ちゃんに喝を入れてくださった。

抱えきれないほどのお土産を戴いて東京に戻ってきたけれど、特に勝美先生の
この言葉…しかと抱きしめて帰りましたぞ。

そうそう、特筆すべき出会いもあったんだった。
CDを買ってくださった秋田は能代からいらしていた美人のI俣さん。
何と何と、学生時代の大の親友・にくちゃんのお知り合いだったの。
I俣さんが参加なさっている5,000人の「第9」で、にくちゃんが歌唱指導を
しているのだとか。
二人で「嘘〜!?」と手を取り合って喜んだ。
ご縁なんだわねえ。

またきっとお目にかかれますよね。
よ〜し、1年先までまた気合い入れて食べる…じゃなかった。がんばるぞ〜。
お〜!(グ〜)ご馳走のこと書いてたら、お腹が…。
タンゴよりだんご…かも。

青森三沢食いしん坊記